懐かしいばかりに

坂本龍一NHK教育で講師をつとめた番組は毎回拝見していたのだけど、その中で、高野寛コーネリアス、清水貴弘、細野晴臣などがYMOの楽曲を演奏しているのを観て感激してしまった。この感激は坂本龍一とは関係なく、高野寛がボーカルを務めていたことに大きく関係している。

ボクの高校や大学生活の決して少なくない部分は高野寛のCDを聴くことに費やされた。今ではまったく想像できないくらいボクはポップスが大好きだったのだけど、NHK教育関連で思い出した高野寛の出演番組のなかでどうしても忘れられないものがあった。それをYouTubeで見ることができて、当時とおなじ鳥肌ものの嬉しさを感じてしまった。

ポップ音楽の純粋な喜びをもたらしてくれるクリップ。「夢の中で会えるでしょう」がそもそもキングトーンに提供された楽曲だとは知らなかった。それと同時に、ある時期から、おそらく2000年以降くらいから職人芸を思わせてくれる楽曲をつくれるミュージシャンが極端に、というより全く生みだせなくなってる状況がここ日本にはあるように思う。おおざっぱな言い方だけれど、高野寛の周辺には田島貴男のようなどっから聴いてもミュージシャンシップの高い人びとが大勢いたように思う。またまた同時に、ポップミュージックの歴史に意識的なミュージシャンも皆無ではなかろうかとも思う。この場合の歴史がどの程度の範囲で想定するのかは各人によってばらつくのは致し方ないとしても、適当にやってれば良いという言い分は、ミュージシャンがどの世代や性別に関係なく通用するはずがない(という考え方自体、ボクのジェンダーと関わっているような気がしないでもないけれど)。2000年以降にデビューしたミュージシャンやバンドの多くが長く持たないことも無関係ではないと思う。音楽産業も低迷から抜け出せないのも宜なるかなという感じだ。