モスキートトーン@足立区

数日前、足立区の公園でモスキートトーンが導入されるというニュースをテレビで見た。何でも、公園で騒ぎまくる若者をこの音で撃退するのが目的だという。

この方法は、たとえばイギリスでは数年前から店舗の出入り口に設置されるなどで、とっくに導入されている。

この公園は家からバイクで20分くらいの位置にあり、区内に住む小学生の甥っ子の弟とでも手をつないで行ってみようかと思った。そしたら、もう甥っ子たちもその母も、モスキートトーンを体験済みだというので、ちょっとがっかりした。

しかし、モスキートトーンのニュースを聞いたとたん、危惧していたことがあったのだが、やはりそれは杞憂には終わってくれたなかった。実際にかなり問題含みなのだ。

音には周波数があって、高ければ高い音、低ければ低い音という具合にグラデーションが存在する。ひとの聴覚は年齢を重ねるごとに弱まっていくので、子どもや若者には聴こえる高周波数の音は、いい大人には聴こえなくなる。

モスキートトーンはこの原理を利用していて、公園のいたる場所から、若者がいやがる音をモスキートトーンとしてぶっ放している。

モスキートトーンが、耳障りな若者を駆逐するだけなら効果アリと素直に認めることができるけど、実際には、小学生くらいの子どもたちまで駆逐してしまいかねないのだ。これがボクの危惧していたことだ。

もちろんこれには個人差があって、神経質なアニ甥っ子は辛さに我慢できずわめいてしまうし、鈍感なオトウト甥っ子は平然としたりする。標準的には聴き取れるはずのないアラフォー母は、ちょっと聴こえるのよ、という具合に。

足立区は、この事態を想定しているのだろうか。専門家との相談があったならば、こんな事態は想定してあってしかるべきだ。騒がしい若者がどこに行こうがまったく知った話ではない。心配なのは、治安や車の往来の激しい区内でどんどん遊び場を奪われていく子どもたちの行き場である。つい数ヶ月前も、キャッチボールだかサッカーの遊び場として甥っ子たちが利用していた駅前の広場が、遊戯禁止となり、彼らは遊び場をひとつ、奪われたばかりだ。

しかも、ある意味人間の騒ぎ声なんて、考えようによってはたかがしれたものなのに、それが原因で子どもたちが犠牲にならなければいけないのはどういう理由か。

う〜む、問題意識が怒りに変わってきてしまった。

しかし、ノイズってのは不思議なもので、大声で騒ぐメイワク(草彅剛)を、権力ある者(通報者+警察)が押さえつけるかと思えば、モスキートトーンのケースのように、ノイズのメイワクっぷりを逆手にとって、権力ある者がノイズを利用して、メイワクなやつを駆逐したりするのね。権力って難しい。草彅くんのことは、またいずれ書きます。ボクは実は、何年か前に舞台を観に行ってしまうくらい、草彅支持者なもんで。