Chicago Bass

そうそう、先に触れたChicago Bassのこと。

このバンドはトラットリアがちょっと陰ってきた、下北沢界隈を中心に盛り上がったNew Wave of New Waveのバンドの一つとして数えられていたような気がする。その筆頭にはSpoozysとかPolysicsが有名だったし、マイナーなところだとBoatなんてバンドもあったような気がする。1980年代イギリスで流行ったNew Waveの再解釈を試みるような流れではあったが、そのことを各バンドがどれだけ意識していたかはボクも全然わからない。

Chicago Bassを聴くと、カジくんがベースと担当してたブリッジをどうしても思い出してしまう。というのも、大友真美(V, G)の存在があるからだけど、Chicago Bassも後期になるとPateが加入したこともあって、どうしてもブリッジをひきずってしまう。でもGentaがChicago Bassの中心的存在だった。このひとがいなければ、Chicago Bassはブリッジと瓜二つバンドになりかねない。音源もいくつか発表している。以下に列挙してみるが、残念ながらアマゾンも楽天もCDをすべて網羅してない。

LAST CALIFORNIA BOOMS

LAST CALIFORNIA BOOMS

DOUBLE BUBBLE

DOUBLE BUBBLE

VU TRIBUTE

VU TRIBUTE

当初からこのバンドを追いかけていたものの、ボクにとってChicago Bassはなぞだらけだ。ライブをあまりやらなかった。ボクは一度も観ることができなかった。NHKのBS2の音楽番組で一度だけライブの中継を観たことがあるのが唯一で、まだボクはラッキーな方だろう。さらに、これは単なる噂でしか耳にしたことはなく真偽のほどは不明だが、ライブでは同じ曲を二度演奏することは決してなかったと聞く。

このバンドはアヴァント・ロックだったのだなと最近思うようになった。メンバー構成がとてもシンプルでありながらフラワーポップ、サイケ、パンクやノイズなど、いろんなボキャブラリーを持っていた。つねに絶妙な不安定さを感じさせながら、それでいて鋭利な感触を保っていた。このバンドがボクのプレイリストの一つとして現在も耐えうるものであるのは、こういう多彩な表情をChicago Bassは持っているからであって、Polysicsのような、突進型テクノ・ニューウェーブしかできない、どこを切っても同じ表情の金太郎あめバンドとは全然違う。Polysicsの亜流バンドが東京やニューヨークでたくさん発生したが、Chicago Bassのそれはまったく登場しなかった。

3つ目に挙げたVelvet Undergroundのコンピレーション(2枚組)にChicago Bassが提供している"Heroin"は出色だ。一時復活も噂されたらしいが、ボクは今でも復活を期待している。My Bloody Valentineも再結成したのだから。