スピッツ

最近はスピッツさえなかなか聴くことはなくなってしまったが、深夜・早朝に放送されるNHKのAMラジオから「遥か」が流れてきたり、最近新作をリリースしたということも耳にしたので、デビュー以来の全てのアルバムを、通勤時間を使って聴いてみた。

通常、バンドでもユニットでも聴いて興奮したり感動したりすると、このバンドに入ってみたいと思うこともないではない。スピッツを聴いていると、やはりいいバンドだなぁとは思うのだが、でも、このバンドに入りたいかといざ聞かれたら、入りたくないと即答してしまうだろう。純粋に聴き手としても印象と、もしこのバンドのメンバーだったら(もちろん仮定の話な訳だけど)という時の印象とが、こうもかけ離れてしまうのだ。

聴き手としては、歌詞がピュアだったり、エロい歌詞をさらっと流してしまったりと、草野風味がよろしかったりする。バンド結成以来、ほとんどメンバー構成が不変なのに、あの質と量をキープするのは並大抵のことではないってことくらい、ボクだって百も承知だ。

それでもスピッツって凄いバンドだと思いつつもメンバーにはなりたくないと思ってしまうのはきっと、スピッツって地に足がつきすぎている、というか、冒険をしない、というか、無理しない、っていうか、demandingなことはしないバンドだな、って思ってるから。ロック/ポップスの語法を熟知し運用する職人技があるだけの話で、そっから先に行こうとはしなさそうであるために、もし自分がメンバーだったら絶対に飽きがくるバンドだ。

今回全てのアルバムに耳を通し、『三日月ロック』に収録の「水色の街」は印象に残った。出だしに使われるのメジャーセブンス系のコードが、楽曲の切なさととてもマッチしていて、心の琴線にぐっとくる曲です。