zeena parkins/necklace

このしばらくはまたシェーンベルク関係の本をずっと読んでました。彼の和声学を読めばちゃんとわかることなんだろうけど、構築されてないようで構築された(和)音、ってことなんだろうなあ。アドルノとかは有機体論を持ち出しながら、どうもそんなことを言っているらしい。シェーンベルクに限らないんだろうけど、12音技法なんて、結構プログラマティックな感じだもんね、あの技法って。そんなことを考えながら、原稿の仕上げにそろそろ取りかからんといかんのだな。

これは年齢のせいなのか、こんつめた生活は今でもそうっちゃぁそうなんだけど、こういう芸風ずっと続けてるのもどうなのかな、とか思い始め、一日に、いろいろなことを、ちょっとずつやる、という生活パターンもなかなかいいのかもしれない、と考えた。飽きっぽい性格だったら、ボクはこのパターンをきっととっくに使ってただろうと。でもね、直前にならないと、締め切りギリギリにならないと何も行動にうつさないのがボクの、よくもあり、だがそれ以上にもっと悪いところであり。じつに、うむむ、なことだ。こんつめた生活と縁切れるかな?切れないだろうなぁ。

実は昨日は学校のパソコンの前に座って、数時間、別の原稿をチェックしながらディスプレイとにらめっこしてたのだけど、画面はでかいし、距離は近すぎるし、で、家に帰ったら目が痛くなっていたのよ。で、本当は昨日のうちに書いてしまいたかったんだけどね。

で、zeena parkins。カタ仮名ではどう表記されてるんだろう?日本のメディアではまったくこの人の名前を、ボクはみたことがありません。ボクのzeena体験は、昨年の今頃、nycでこの人の演奏聴いてます。名前は、それよりもずっと前に知ってました。

zeenaは、音楽のキャリア自体はクラシックの方が先行してたみたいだ。情報をあまり知らないので、いつもの雑誌で確認したのだよ。たしか、高校のときにハープにはまった、と。で、大学はニュー・ヨークのbard collegeで、音楽専攻だったけど、ハープはひけないし、そこでのクラシック音楽に対するアプローチに嫌気がさしまくってたそうだ。本当は、現代文学(恐らく英文科か何か)をやりたかったんだって。それでもシェーンベルクとかの技法はみっちり学んだ、みたいなことを本人はインタビューの中で言っていた。

で、そのあと就職をいたのはしたのだけど、これが運命なのか?!就職先はハープを取り扱う楽器屋だったそうで。ハープに目覚めちゃうわな、これじゃぁ。で、そうこうするうちにnycにやってきたのよ、だって。

その折、nycではno wave関係の音楽が凄くはやってる時期で、彼女が目に付いたのはikue moriらしい。これが今のzeena parkins and ikue moriのきっかけか。ikue moriはどうも、DNAとかで世界を駆け巡っていろんなことしてるらしいけど、まぁ早い話、zeenaとやるのは馬があうし、お互いにいいアイディアを出し合えるんだって。ってことなんだけど...

さっきいった,去年の今頃みた彼女たちのステージ。名前は知ってたし、最前列で期待を込めて待ってたんだけど、けっこうチョボイの、音が。この2人のこと知ってる人はみたことがあると思うんだけど、zeenaは今electric harpってのを使用していて、それでノイズを出すんだけど、(あの、変な逆三角形のやつ。それに取っ手がくっ付いてるの)これが、見た目ほど大したノイズを出さないのさ。で、ikue moriは今はもうドラムは叩かない代わりに、ラップトップしかいじらないから、インパクからしても、全然ないんですわ。ラップトップはピコピコしかいわなくて、エレキハープはギィッって音しか出ないし。今調べてみるけれど...彼女たちのステージの同日、carlos giffoniとかsolmania, smegmaとかがラインアップしてるわけでしょ?これじゃぁさぁ、負けるよ。giffoniはイベントのオーガナイザーで超有名、日本でも見たことあるくらいだし。solmaniaは日本人だけど、アルケミーの音源なぞ、ちゃんとあるし。smegmaは超高齢ノイズバンドだし。zeena parkinsって、そもそもノイズ向きなのかなぁ、って自分で手に旨を当てて考え直した方がいいよ。

でも、そもそもなぜ今zeena parkinsを話題にしてるか、というと、彼女の『ネックレース』というツァディックからリリースのCDを聴いてるんだけど、こっちの方が、インパクトありますよ。これは自分の姉/妹含めたカルテットものなんだけど、聴いた分にはどうも、12音技法的なことをとりれてるらしくて、というか、数倍も音の表情あるですよ。まぁ、これが4重弦ものがツァディックから出てる、ってことを考えてもらえれば、クラシックなセッティングでもどんな感じの音かは、想像できてしまうのかもしれないが。ただ、もっと研ぎすました音にすれば、もっとクールな音に仕上がるのではないかと、そこがちぃと残念。

しかし、12音技法とか、シリアリズムにしても、都市のノイズを反映しているということを、いろんな人がいってるけれど、非テクノロジカルな楽器を使ってテクノロジカルな音を出す、ってどう捉えたらいいんでしょうね。あえてこの時代に生楽器を使うわけでしょ?テクノロジーの限界を提示する、とか?うーむ、よく分からん。

読書的には、もう適当です。くさなぎつよしの本、一日一年分読んでます。11年分だから、へたしたら2週間掛かる。この人の素晴らしさは、根本的にアホなのに、役者論をいわせると、ジワ〜ってくるほどエエこというところ。

あとはね、(安藤政信ふかわりょう)÷2=T君が貸してくれたpeter iversを聴いたりですわ。このひとのこと、ちょっと調べさせて。なんか、英米と日本で若干受容のされ方が違うのではないかと思い始めたよ。