水晶の舟、山本精一、Mason Jones@無力無善寺

先週のライブ@無力無善寺のこと。

まぁ、びっくり。この箱、大雑把に描写してしまえば「汚れた宇宙百貨」。ピンクを基調にした内装だが、キティーちゃんのラグが壁に貼付けてあるかと思えば、(とりあえず寺だからだろう)仏壇の脇に設置する提灯だが行灯だかが照明になっているし、かと思えば客席は、ソファーがあるにはあるけれど、ほとんどの客は風呂場のイスを座席として使用する。お札をはじめとした仏具やら、寺というにはまったくそぐわない文句が書いてある札やら、こんな雑然とした空間に身をおくのは実に新鮮というか、久々というか、まったく想像してなかった。アングラなんだかファンシーなんだかよく分からん。考えると発熱しそうだ。ボクは寺っぽい渋さを期待していたのに。

しかもここのオーナー、とりあえず坊さん的な設定なのだろが、まったく僧侶失格なおっさんだった。だいたい、まだお客のほとんどが女性だった頃、「今日は開始時間が押してます」ってアナウンスするのはよいのだが、「それまでどうしましょう」なんて客に聞くから、ひとりの客はその僧侶に「なにかお話してください」なんて答えたのだが、するとこの僧侶もどき、「ぼくは×××の話くらいしかすることがない」とかほざく。破廉恥な僧侶だ。

とにかく残念なのは、この箱はあまり激しいパフォーマンスができないらしい。ノイズはアウト、ってことみたいだ。

まぁそれはともかく、水晶の舟、山本精一それからMason Jones。水晶の舟のことは知ってはいるが、ライブは初めて。典型的PSFな人たちには、失望されることが多いのだが、大満足だった。この人たちは、徹底的に美ですよ、美。それ意外は何もなし。何もなくてよい。ツインギターにドラムの3人構成だが、そんなに難しいことをするでもなく、特別な機材を使用するでもなく、轟音の中に、研ぎすまされ、透き通る繊細なギター音にこちらは卒倒しそうだ。今度はもっと大きな箱で水晶の舟を聴いてみたい。ドラマーが、宇宙エンジンという、1年前観たバンドのドラマーと同一人物だったので、ちょっと懐かしかった。

その後の山本精一やMason Jonesの音も、水晶の舟に合わせたかのようだった。みんな激しさとか暴力性というよりは、繊細な音を作る方向性を持っていたような気がする。その中でも特に、Mason Jonesの相方のドラマーの器用さには目を見張るものがあった。この2人でNuminous Eyeというユニットをやってるらしいが、Mason Jonesのサイトもあるので参照してみよう。
http://www.charnel.com/mason/

サンフランシスコからわざわざ太平洋を渡ってきた2人。こちらかアメリカに行かずとも、日本で観れてよかった。