「バケツの歌」(山本精一)
「バケツの歌」とは、CD『幸福のすみか』に収録される山本精一の曲だ。東京公演でも、山本精一はこの曲をたまに歌う。
- アーティスト: 山本精一,PHEW
- 出版社/メーカー: 徳間ジャパンコミュニケーションズ
- 発売日: 1998/09/23
- メディア: CD
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先日の吉祥寺での公演でも「バケツの歌」は歌われた。JOJO広重さんも来場しておられたらしく(というか、お姿は遠くから拝見してました)、ご自身のブログでもこの曲の秀逸さを語っておられた。
わたしもこの曲は好きなのだが、好きというレベルにはどうもおさまらない気持ちを持っている。この曲を聴くと、ずいぶん救われる気持ちになるのだ。
そもそもこの曲は出だしから、精神的に重い。「こんな毎日もう愛もない/こんな生活もう夢もない」とか、「病気のふりする元気もない」とか。このあとも、こういった精神的に重いフレーズが続く。
それでもこの曲にボクが救われる気になるのは、こういう重さがカタルシスを引き起こしてくれるからではない。そうでなくて、この曲の後半から登場するナンセンスなフレーズに救われてしまうのだ。「頭の吐き気ひざの眩暈」。これはどうだ。「吐き気」、「眩暈」はたしかに重いが、それは「頭」の吐き気、「ひざ」の眩暈だったりする。
さらには、エンディングのライトモチーフ「赤いバケツをどうぞ/青いバケツをどうぞ」。もう判然としないナンセンス。なんでまたバケツなのかもよくわからん。でも、このナンセンスのオンパレードこそが、曲前半の重さをすべて引き受けてくれるような気持ちにさせてくれるのだ。
「バケツの歌」に出てくるバケツが、自分にとって救いになるとは、ナンセンスな話なんですけどね。