『プレイグラウンド』

山本精一、歌ものCDを6年振りにリリースってことで早速購入、聴き入る。

プレイグラウンド

プレイグラウンド

ほとんどの曲はライブで公表済みで、実際に初めて聴いた曲は1曲しかなかった。

それでも歌詞カードを手にして改めて聴いてみると、やはりナンセンスなフレーズが多いけれども、このナンセンスさと山本精一の「フラット」な歌い方があいまって、聴き手はなんだか救われる気がする。

ギターの美しさは言うまでもないけど、『幸せのすみか』をはじめとする山本精一のポップな作品は、音の響きの構造がとても不思議だ。とくに音全体に対するベースの置かれ方のバランスはとても特徴的です。今回の新作も、ベースは山本精一によるものなので、その辺は堪能できます。

ただ欠点は、ドラムに千住宗典を起用したことだろう。

山本精一と千住宗典の関係は短くはない。現在だって2人はParaで一緒にやっているわけだし、実は羅針盤が解散する直前のライブにて、チャイナが(たしか海外ツアーで)不在だったため、その穴を埋めたのがこの千住宗典だった。2005年10月くらいのことだ。

そのライブの時とまったく同じ感想を、この新作を聴いて思った。フレーズが雑。もっと曲を聴き込むなり分析するなりして、きちんと練ったフレーズをつくりあげて欲しい。共演者とチグハグな箇所も少なくないし、叩くつもりなのかそうではないのかが判然としないようなスネアの音さえ指摘できる。しかも、ハイハットやスネアの音自体もとても乱雑な響き方をしてはいないだろうか。ここは裏方の人びとにも考えておいてほしい。歌や歌詞が重要な役割を担っているのだから、そういう作品の持ち味を殺さないでほしい。あのスネアはミスマッチ。

くり返して言うが、これは、千住宗典のドラムに関して約5年前に抱いた感想とまったく同内容だ。

埋火のファーストアルバムをリリースを祝ってスターパインズでライブがあったとき、新作CDに収録の曲を山本+須原敬三+山本達久(3曲だけ)で演奏した。はっきり言うと、こちらのメンバーでの演奏の方がずっとリリースに値すると思った。