Hypnagogicものが気になって...

Hypnagogicなんて言葉さえ、本当のところはきちんと把握できちゃぁいないんだけど、それでもなんだか気になる、hypnagigicな音源。

誤解をおそれなければ、ノスタルジックなフレーズとかアプローチとかを、現代風なタッチでre-package化された音源を指し示す言葉なんだろう。どっかの製菓会社が起用しているYMOのコマーシャルなんかがいい例だったりして。

まぁでもさ、程度の差こそはあれ、この現象はどのジャンルの音楽にも表れているらしいけど、極端なことを言うと、ポピュラー音楽の場合、奇をてらったような、大胆かつ実験的なアプローチなんてのは夢みたいな話なのだから、あらゆる作品がhypnagogicって言えてしまうような感じも。だから、誰かの携帯電話の着信音とか、韓国K-POPの新譜紹介などを耳にすると、どうしてもhypnagogicたるものを意識してしまう。なぜって、あらゆる音楽は、必ず過去の作品を想起させてしまうから。

なんてことを考えながら、次のような本や雑誌を読む。

Sound Ideas: Music, Machines, And Experience (Theory Out of Bounds)

Sound Ideas: Music, Machines, And Experience (Theory Out of Bounds)

特に後者のCatherine Christer Hennixの特集を組んだ『ワイヤー』誌。1990年頃に性転換したとかいう曰く付きのおじいさん、ていうか、おばあさん。35年もかけて制作されたらしい_Electric Harpsichord_がリリースされるということで、最近にわかに注目されている。La Monte YoungとかPandit Pran Nathなどとの交流は気になる。

というのも、Paul Burwellのケースにも通底するようだが、世界は音で振動してゆく。ならば、音に仕える私たちは、世界とどんな関係を築けるのだろう。音の振動で、世界をどう把握できて、どう変えることができるのだろう。また、このおじいさんおばあさんの場合、数学や哲学などかなりinterdisciplinaryであるらしく、Pran Nathもそのことに矛盾はないと理解していたそうなのだが、ドローンな世界観とcosmosとを繋げている点なんかはHennixの魅力っぽそうだな。