Brandon LaBelle

Brandon LaBelleはこれからきっと頭角をあらわしてくるサウンド・アーティストのひとりなのだと思う。今月の12−14日という3日間にわたってグラスゴーで開催されるInstalにも出演するし、この人の博士論文をもとにした単著なんて洒落たものも入手可能だったりする。ボクも折に触れて読んだりする。

Background Noise: Perspectives on Sound Art

Background Noise: Perspectives on Sound Art

LaBelle名義でリリースされたCDなんかも、ロンドンのSound 323に行ったときに購入済み。"Concert"というアルバムCD(Sirr 0017, 2004)ですが、アマゾンでの流通はなしの模様。

音響なんて言葉にゃたいして興味ないのにLaBelleを思い出してまったのは、数週間前に言及したけど、現在になってもちまちまと読んでる本のせいです。

Sound Ideas: Music, Machines, And Experience (Theory Out of Bounds)

Sound Ideas: Music, Machines, And Experience (Theory Out of Bounds)

Evensの主張の一つとして、CDとて録音メディアとしての限界があるわけなので、録音というフィルターを通した段階でそぎ落ちてしまう部分がたくさんある、ということがあるようだ。LaBelleみたいに音ばかりではなくて共鳴にも焦点を当てざるをえないようなケースだと、その空間の物理的制約というか条件みたいなもの、建築物のスペックとでも言えばいいのか、といったものがかなり音の響きを規定してしまう。

でも、所詮CDはCDなのね。CDに落とした段階で現場で聴取可能な音はまったく別ものに変形してしまうし、そのCDを再生する機材や空間だってまちまちなので、こまかい事を言えば、まったく同じ条件下での再生はありえないということなんだろうねぇ。

ってことは、いわゆる「サウンドアート」とされるものってCDで聴いてもあんまり意味ないのね、それよりもやっぱり会場に足を運びましょう!

っていう暢気な結論を口実にすれば、多くの犠牲を払ったとしてもいろんなところへ行くだけの価値があるってことね。